盛岡りんごをつくるひとたち【後編】|盛岡りんごとあなたをつなぐ物語


「盛岡りんご推進協議会」の会長を務める北田富士子さんは、夫の晴男さんら家族とともに「りんご工房きただ」を経営し、りんご栽培に取り組みながら、いち早く2000年ごろからインターネットを活用した情報発信や消費者とのコミュニケーションに力を入れてきました。

インタビュー第2回では、創意工夫を重ねながら新しいチャレンジを続ける北田さんの農業やりんごへの思いに迫ります。



――北田さんがりんご栽培にかかわったきっかけを教えてください

夫の家が古くから続くりんご農家だったんです。でも結婚した当時は「農家に嫁いだら人生終わり」と信じて疑わなかったくらいで(笑)、「絶対手伝いません」と言って、25年間会社勤めを続けていました。でも、夫や義理の両親の農業を見ているうちに少しずつ気持ちが変わっていったんです。

会社員として働きながら、りんご工房きただのホームページの制作を始めたのが、りんごにかかわり始めた第一歩。私自身は会社でインターネット回線を普及させる仕事をしていて、この先、絶対にインターネットで買い物をする時代が来ると予感していました。

実際にホームページを作って販売してみたところ、ちゃんと情報発信すれば、ちゃんと売れる。その時の経験から、農業もやればやっただけ成果が得られるんだという手応えを感じ、会社を辞め、農業に専念することにしました。その時は、夫婦で農業をやって生活するのが難しければ、サラリーマンに戻ればいいや、というくらいの気持ちでした。


――りんご工房きただではどんなりんごを作っているんですか?

現在、りんご工房きただは、夫と私、長男夫婦、長女の5人で経営していて、りんごを中心に、長男たちが桃やプラム、キウイなどさまざまな果樹の栽培を手掛けています。

3.5haの農地に2,500本くらいのりんごの木があり、生産量のうち、7割くらいが「ふじ」です。そのほかに「ジョナゴールド」、「津軽」、盛岡で生まれた「ちなつ」「はるか」「きたろう」など、全部で20種類くらいを栽培しています。

特徴は、農薬と化学肥料を慣行栽培(従来の栽培方法)の半分まで減らす“特別栽培(減農薬栽培)”と、葉を摘み取らずに残す“葉とらず栽培”です。日本では、ふじなどの赤いりんごを栽培する際、りんごに日光を当てて着色を良くするために、葉を摘み取るのが一般的です。

しかし、私たちは、光合成に欠かせない葉は、果実に栄養を送って味を良くしてくれるものだと考えているので、着色よりも味を重視し、“葉とらず栽培”に取り組んでいます。


――20種類以上のりんごを作る中で、北田さんが好きなりんごは何ですか?

その時どきの旬のりんごがそれぞれ最高だと思っているので、選ぶのは難しいのですが、ひとつ挙げるなら、盛岡生まれの「ちなつ」です。

ちなつが出てくるまでは、夏の時期に美味しく食べられる日本のりんごはなかったので、初めて食べた時はとてもびっくりして、すぐに生産を始めました。

りんごというと冬のイメージを持つ人が多いと思いますが、夏でもこんなに美味しいりんごがあるんだということを知ってほしいという思いで毎年作っています。

皮が柔らかくてそのまま皮ごと食べられるのも魅力ですし、旬の時期が短くてはかないところも含めていとおしいですね。


――日ごろから消費者とのコミュニケーションを大切にされているそうですね。

はい、りんご工房きただの出荷量のうち、約7割が直接注文なので、お問合せやご意見を聞く機会が多く、お客様に育てられてきたと思っています。“特別栽培”を始めたのも、「子どもに安心して食べさせたい」というお客様の声がきっかけでした。

お客様へのニュースレターでは、“葉とらず”のりんごと葉を摘んだりんごの糖度や硬さを比較した研究結果をお伝えするなど、思いだけではなくデータもお伝えしてお客様が納得して購入していただくよう心掛けています。そういった積み重ねの中で、私たちの姿勢に共感してくれる方が増えてきていると感じています。

また、敷地内にある築130年の蔵を宿泊施設にリノベーションし、農業や地域の暮らしを体験してもらうグリーンツーリズムの拠点として活用しています。収穫などの作業体験やジャムづくりなどを通して、色々な形で農業にかかわる人を増やしていきたいと思っています。


――グリーンツーリズムを始めたのはどうしてですか?

そもそもは家族5人で締結した“家族経営協定”が始まりです。昔ながらの農業から脱却して、若者があこがれる農業を目指すためには、それぞれの役割分担や労働条件などを明確にすることが必要と考え、協定を結びました。この中に、2年に1回の海外先進地研修という目標を盛り込みました。

研修でスイスに赴いた時に、農村に滞在し地域の食やお酒を楽しむアグリツーリズモを体験し、「これだ!」とヒントをもらい、蔵の活用を思い立ちました。

日本でのグリーンツーリズムは教育旅行の一環という位置づけが主ですが、大人が地域でゆったりと過ごし、地域とかかわり魅力にふれ、そしてりんごのファンになる、そういった場にしていきたいですね。




――最後に、北田さんの目標を教えてください

盛岡りんごをこれまで以上に日常的でカジュアルなものにしていくことです。

日本だとりんごは、食後のデザートとか嗜好品という位置づけかもしれませんが、海外では歩きながら丸かじりするのが当たり前で、イギリスでは「1日1個のりんごで医者いらず」ということわざがあるほど、健康的な食べ物とされています。実際、食物繊維やビタミンC、ポリフェノールなどが豊富に含まれています。

きゅうりやトマトなどの生野菜を食べるような感覚で、もっと手軽に、もっと日常的に、りんごを手に取ってほしいし、その中で、地元盛岡以外の人たちにも盛岡りんごを選んでもらいたい。

そのために、私たちも見た目よりも味や価格を優先して手ごろで手軽に食べられるりんごを栽培し、グリーンツーリズムも含めてさまざまな機会に盛岡りんごのことを伝えていきたいと思っています。



――北田さん、いろいろと教えていただき、ありがとうございました!
 

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